惨憺(さんたん)の意味を分かりやすく説明します。使い方や四字熟語『苦心惨憺』、類語なども解説します。
惨憺(さんたん)の意味
三省堂 大辞林によると、惨憺は次のような意味です。
①いたましくて見るに忍びないさま。 「 -たる結果に終わる」 「 -たる殺戮を世上に見るのみなりき/日本開化小史 卯吉」
②あれこれと心を砕くさま。 「苦心-」 「自己の-たる労力の一部を割いて/土 節」
③薄暗くて恐ろしいさま。 「黄雲-とし,満眸皆な黄色/日本風景論 重昂」
直接見るのをためらうほど痛ましいという意味です。
惨は『いたましい、むごい』という意味合いがあります。憺は『やすらかで心が落ち着いている』という意味です。
調べてみましたが『憺』の漢字を使う意図がわかりませんでした。『何も感じられなくなるくらい痛ましい』というニュアンスなのでしょうか?
惨憺の使い方
惨憺の使い方を例を挙げて紹介します。
何度誓っても何度祈っても惨憺たる夢を見る
(米津玄師『アイネクライネ』より引用)
猫を百匹同時に相手にしたってそうはなるまいという、惨憺たる有様だ。
(西尾維新『猫物語(黒)』より引用)
このように『惨憺たる〇〇』という形で使われることが多いです。
惨憺たるもの、惨憺たる結果、惨憺たる有様、惨憺たる状況、惨憺たる光景、惨憺たる敗北、惨憺たる失敗、惨憺たる成績、惨憺たる姿、といった使い方です。
四字熟語『苦心惨憺(くしんさんたん)』
惨憺を使った四字熟語苦心惨憺(くしんさんたん)。
かなりの苦労をして様々な工夫をするという意味です。
かの有名な『吾輩は猫である』でもこの四字熟語は使われています。
そこまで持って行くにはだいぶ苦心惨憺たるものがあったのだろう。
(夏目漱石『吾輩は猫である』より引用)
結果があるからこそ、それまでの苦心をうかがえるということですね。
ところで外国に行ったりすると、店員さんがフランクで驚くことも多いです。日本はどこにいっても非常にハイクオリティーなサービスを受けることができますよね。
その辺のコンビニやファミレスでも、バイトの方を含めて非常に質が高いと感じます。
日本式サービスは苦心惨憺の結果ですね。
惨憺の類語
最後に惨憺と似た意味を持つ言葉を紹介します。
■惨澹(さんたん)・・・漢字が違いますが、惨憺と同じ意味です
■悲惨(ひさん)・・・悲しくなるくらいみじめな様子
■凄惨(せいさん)・・・目をそむけたくなるくらいむごい様子
■酸鼻(さんび)・・・とてもむごたらしいこと
以上です。
重い意味を持つ言葉を解説すると、図らずも重い気持ちになりました。
言葉の力はすごいですね。