テレビやネットニュースなどで「書類送検」という言葉がよく出てきますよね。「書類送検」されたら必ず前科がつくのでしょうか?
■書類送検されると前科がつくのか
■書類送検とは
■前科と前歴の違い
この辺をわかりやすく解説していきます。
書類送検されたら前科がつく?
まずは結論からいきます。書類送検されただけでは前科はつきません。
ただし書類送検されたという前歴が残ります。
くわしく解説していきますね。
書類送検とは
書類送検とは、「警察」が「捜査の書類」を「検察」に送ることです。
なぜわざわざ書類を送るかというと、実は警察は「起訴する」ことができないのです。
刑事訴訟法で「起訴できるのは検察のみ」と決められています。警察は検察に書類を送り、検察が「起訴する or 起訴しない」を決めます。
そのため警察は、捜査した事件を全て検察に送ります。逮捕している場合は身柄と書類を、逮捕していない場合は書類のみを送ります。送検とは『検察に送る』ことです。
書類送検は、逮捕されておらず書類のみを送ることを言います。
一言で言うと、書類送検は「起訴される」前の段階です。
起訴されないこともあります。
(起訴とは、裁判所に審判を求める意思表示のことです)
前科と前歴の違い
前科と前歴は全然違うものです。
禁固以上の前科がついていると、弁護士・弁理士、教員になることはできません。それ以外の一部の国家資格や警備員の職も制限期間がもうけられることがあります。
前歴は、はっきりとした制約はありません。
前科とは
起訴されて、裁判所で有罪判決をうけると前科がつきます。
書類送検は「起訴される」前の段階ですので、この時点で前科がつくことはありません。
【書類送検】→【起訴】→【裁判】→【有罪判決】までいって初めて前科がつきます。
前歴とは
前歴は犯罪をしたと疑われて、書類送検・逮捕されると残ります。
書類送検・逮捕されても、起訴されないこともあります。
起訴されない理由は
1、その人は犯罪に関わっておらず、疑いが晴れた
2、疑いは晴れてないが、その人が関わっている証拠が完全なものではない
3、罪の重さやその人の態度から、検察の判断で起訴しない
の3つです。
前歴を持っている人がまったく犯罪に関わっていないこともあります。
風評被害などはあるかもしれませんが、前歴には制約はありません。
まとめ
最後にまとめです。
1、書類送検とは、起訴の前段階
2、書類送検されても、それだけでは前科はつかない。前歴のみ。
3、前歴には制約等はない
以上です。
書類送検というとものものしく聞こえますが、警察は捜査した全部の事件を送検します。
『書類送検された=状況が悪くなった』ではないので気をつけたいですね。
この記事を書くにあたって、以下のサイト様を参考にさせて頂きました。
ニュースでよく見る「書類送検」って何? 元検察官の弁護士がわかりやすく解説
前科と前歴の違いは?その後の生活にはどんな影響がある?
起訴と不起訴とは