とある政治の場面で使われ、一気に広まった忖度(そんたく)という言葉。
本来の意味や使い方、語源などを分かりやすく説明します。
忖度の意味
忖度は『本来の意味』と『最近の意味』ではちょっと違いがあります。
わかりやすく分けて説明します。
忖度の『本来の意味』
忖度の本体の意味は『相手の気持ちを推しはかること』。
シンプルな意味で、良いも悪いもありません。
『推しはかる』は『似たようなもの(こと)から、だいたいこうだろうと考える』という意味です。
忖度の『最近の意味』
最近では忖度の使われ方が変わってきているみたいです。
『偉い人に気を利かせて、周りの人が何らかの行動をとること』という意味で使っているケースをよく見かけます。
というか、ほとんどの人がこの意味で使っていると思います。
忖度という言葉自体にネガティブなイメージがついてしまったような気がします。
本来は政治や権力などとは関係のない言葉なんですけどね。
忖度の使い方
本来の意味での忖度の使い方や例を紹介します。
私は、彼の言葉をそのままに聞いているだけで彼の胸のうちをべつだん何も忖度してはいないのだというところをすぐにも見せなければいけないと思ったから
(太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫より)
私はこういう場処で、広い意味では共通なものとして示されているあなたの作家としての公の言葉を、ああこうと忖度する必要は感じません。
(宮本百合子「不必要な誠実論」青空文庫より)
最近の使い方は下のような感じです。
■○○の件、忖度はあったんですか?
■直接的な口利きは無かったが、忖度はあったと思う
忖度の類語
忖度と似ている意味を持っている類語を紹介します。
■斟酌(しんしゃく)・・・相手の心情を推しはかること。また、推しはかって手加減すること。
■推測(すいそく)・・・知っているものから推しはかること
■配慮(はいりょ)・・・良い結果になるように気遣うこと
■顧慮(こりょ)・・・よく考えて気遣うこと
忖度の反対語
続いて忖度と反対の意味を持つ反対語を紹介します。
色んな角度から考えた反対語です。
■断定(だんてい)・・・はっきりと判断すること
■確認(かくにん)・・・はっきりと確かめること
■KY(ケーワイ)・・・空気を読まないこと
■露骨(ろこつ)・・・相手のおもわくを考えず、自分の気持ちをそのまま表すこと
■無頓着(むとんちゃく)・・・こだわらないこと
以上です。
言葉の意味なんて時とともに変わるのが普通です。
美しい日本語・正しい日本語が残ってほしいという気持ちもわかります。
でも言葉だけではなく、ぜんぶ変わっていきます。
全てのものは、たまたま今この時代に『こーゆう形』だっただけです。
なんて。
では今回はこのへんで。